塩素殺菌の仕組み
塩素とは元素の一つです。塩素は通常は気体で、強い匂いと毒性、腐食性が高いことで知られています。洗濯に使う漂白剤や消毒剤、プールの水のなどにも塩素が使われています。
塩素の特徴
- 黄緑色
- 通常は気体
- 毒性が強い(殺菌力がある)
- 匂いが強い
- 強い酸化・漂白作用
塩素は非常に強い毒性を持つため、人体に有害な物質です。一方で、コレラ菌や大腸菌などの殺菌にも役立ちます。塩素を使った処理が行われていなかった時代では、飲料水に混ざる病原菌やウィルスなどから流行病が発生しましたが、近年、塩素を使った殺菌消毒処理を行うことで、これらの病気はほとんど見られなくなりました。
浄水場ではアンモニア態窒素や鉄を取り除くためと、殺菌消毒のために塩素が注入されています。特に「次亜塩素酸ナトリウム」や「次亜塩素酸カリウム」は消毒効率が高く、安定して供給できることから水の消毒に使用されています。
塩素を使用するメリット・デメリット
メリット
- 強い殺菌力がある
- 水に残留し持続して殺菌できる
塩素には強い殺菌力があり、ウィルスや最近の感染力をなくし、殺菌する効果が期待出来ます。水道施工法でも「「給水栓における水が、遊離残留塩素を0.1mg/L(結合残留塩素の場合は0.4mg/L)以上保持するように塩素消毒をすること。」と定められています。塩素で消毒することで、飲料水としての安全性が確保できるためです。
デメリット
- 匂い(カルキ臭)が気になる
- 残留塩素からトリハロメタンが生成される
- 塩素そのものが人体にとって有害
一方、塩素に含まれる独特の匂いが「カルキ臭」です。水道水の味や匂いについてはずいぶんと改善されたものの、気になる人は多いようです。トリハロメタンとは塩素消毒の際に出来てしまう化合物のことで、発がん性が指摘されている物質です。また、塩素そのものを大量に摂取すれば喘息などを引き起こすことがあると言われています。
塩素が水道水に含まれていることで、水道水の安全性が確保されていると言えます。しかしトリハロメタンやカルキ臭など、気になるデメリットも無視出来ません。安全に水道水を飲むためには工夫が必要です。