ミネラルウォーターが出来るまで
自然の水が地中に染みこみ、長い時間をかけて砂や土を通ることでミネラルを蓄えた水がミネラルウォーターです。
その製造過程では、人の体に必要なミネラル分はそのままに、安全に飲める水であることが重要になります。まずは一般的なミネラルウォーターの製造過程を見てみましょう。
日本の一般的なミネラルウォーターの製造過程
- 採水
- 採水地からミネラルウォーターの元となる原水を汲み上げます。山や川、泉や温泉など採水地はいろいろ。採水地によってミネラルウォーターの成分や味が異なります。
- 原水チェック
- 採水した水を水質検査して確認します。味や色はもちろん、科学的な分析に基づく解析を元に、水質の安全性を確保します。
- ろ過・滅菌
- 原水をフィルターにかけてろ過し、不純物を取り除きます。ミネラルウォーターであればミネラル調整、ばっ気、オゾン殺菌、紫外線殺菌などを行い、より安全な水として製品化します。ナチュラルウォーターやナチュラルミネラルウォーターであれば、処理は濾過・沈殿・加熱殺菌のみとなります。
- ボトリング
- 処理をした水をペットボトルに充填します。ペットボトルは衛生処理された部屋で、ボトルもキャップも徹底的に洗浄されます。ペットボトルに詰められた水は最終チェック後、出荷となります。
日本のミネラルウォーターはおおよそこのような過程で製造・出荷されています。日本ではミネラルウォーターと言えども、水の安全性を確保することが第一となっているため、ろ過や滅菌処理が行われるようになっています。
加熱処理をしないヨーロッパ
日本のミネラルウォーターは、殺菌処理を行ったものがほとんどです。一方でヨーロッパはEUのナチュラルミネラルウォーターの品質基準に基づいたものなので、製造過程が少し異なります。主な違いは以下のものです。
EUのナチュラルミネラルウォーターの品質基準
- 加熱殺菌の禁止(水に含まれる生菌数の規定有)
- ミネラル分基準値の設定
- 採水地の環境保護の義務
ヨーロッパのミネラルウォーターはEUの基準を元に製造されています。日本との大きな違いは、加熱殺菌処理が禁止されていることです。これは採水地から汲み上げた水の味や風味、成分を損なわないようにするためです。殺菌処理がされないかわり、水に含まれる病原菌の数や、ミネラル分の基準値が厳しく規定しています。
殺菌処理がされていないのに水が安全なのは、採水地の環境保護が徹底されているからです。水源を汚染から守るため、生活排水の除去、農薬や化学肥料の禁止、土壌の浄化などの取り組みが義務づけられています。「環境がよい状態で採水できる水だからこそ、殺菌・除菌の必要がない」というのが、ヨーロッパでのミネラルウォーターに対する考え方なのです。
ミネラルウォーターの製造・処理に対する考え方は国内と国外で異なります。この違いを理解した上で、自分にあったミネラルウォーターを選びたいですね。